倉庫会社への物流委託検討~移管の手順② 移管準備から運用開始まで
前項の検討開始から倉庫決定までの続きとなります。
3. 物流委託打ち合わせ
■スケジュール
委託倉庫にて運用開始をするまでのマイルストーンの作成が必要となります。
通常倉庫側よりスケジュール表などでの提示があるかと思いますが、いつからどのように開始をしたいか希望を伝えましょう。
当社では、通常では下記の手順で進めていきます。
- ヒアリング(要件定義)
- 物流運用フロー作成し、擦り合わせ
- WMS(在庫管理システム)選定、決定
- 配送種決定
- WMSシステム開発
- WMSシステム運用テストと荷主様への運用レクチャー
- 商品移管
- 当社倉庫での運用開始
通常受託決定より運用開始まで1か月、大規模案件では6か月以上かかる場合もありますが、最短では2日で運用開始をした実績があります。
運用開始まで時間がかかる要因として、システム開発に一番時間がかかり、ヒアリングの中でも中心的な要件となります。
商品アイテム数が少なく、WMSをエクセル管理で可能な場合では、荷主様より提供される出荷指示データを各配送会社の送り状発行システム(ヤマト運輸B2、佐川急便e飛電Ⅲ、福山通運i-starXなど)の宛先名や住所等の項目にマッピングするだけですので、すぐに立ち上げが可能です。
しかし、基幹システムとWMSを細かな点まで連携し、自動バッジ(データ締めと連携)を組み・・・・とシステムが複雑になるにつれ、システム開発期間は長くなり、開発コストも膨大になることが予想されます。
システム上で必須連携事項を取捨選択することは重要です。
■物流委託準備 キックオフの際に準備しておくべきデータ
下記は、当社が受託業務において、荷主企業様へ提出をお願いするデータとなります。
当社だけでなく、物流システムを利用した倉庫会社では同様のデータ提出を求められます。
もちろん案件内容により不要な場合がありますが、データのご用意が遅れ、開始時期を見直せざるえないといった事例もあります。
急にデータ提出を求められ、多忙な中、対応することを考えると事前用意しておきたいものです。
【準備を依頼するデータ(一例)】
- 商品マスタリスト
- 入庫予定データ(アウトプットデータ)
- 入庫実績データ(インプットデータ)
- 出荷指示データ(アウトプットデータ)
- 出荷実績データ(インプットデータ)
- 返品予定データ(アウトプットデータ)
- 返品実績データ(インプットデータ)
- 現状の在庫リスト
- 日々報告用在庫リスト(インプットデータ)
■その他
過去の作業におけるトラブルなどは必ず委託倉庫に話しましょう。
倉庫側は、過去のトラブルと同じ作業事故を起こさぬよう事前に対策を立て、作業フローを組み立てるはずです。
失敗は財産になりますので、共有するようにしましょう。
4. 商品移管~運用開始まで
自社物流から倉庫会社、現委託倉庫より新倉庫会社への移管のいづれにせよ商品の品質や在庫責任を明確にすることが大切です。
当社では商品をお預かりする際は必ず責任の明確化をお願いしています。
理想は、現倉庫(自社倉庫・委託倉庫共に)より新倉庫へ移管の際は、双方で棚卸を実施し、数量が一致していることを確認の上、運用を開始できる状況です。
しかし、現実的にはコストがかかり、現実的ではない場合が多いです。
その場合、新倉庫で受け入れの際に検収作業を実施することが良いと感じます。
■移管時、コストをかけず入庫受け入れをするためには
移管時に限らず物流コスト削減をするには、荷主企業と倉庫会社双方の協力がなければ達成は不可能です。
新倉庫での受け入れコストをかけずスムーズな移管を実施するには、まず現倉庫への働きかけが大切です。
現倉庫が委託倉庫会社である場合、現実的に同業者である新倉庫会社は現倉庫と直接交渉や打ち合わせの席に着くことはなく、荷主企業にご連絡はお願いすることが通例です。
当社で受け入れ準備をする場合は荷主企業様へ以下のお願いをしています。
【移管時、現倉庫への出庫形態依頼(一例)】
- パレットに番号(パレット№)を振り、「商品コード・商品名・パレット№・数量」を在庫リスト化する。
- 納品時入り数通りのケース(スタンダードケース)とスタンダードケースより何部か欠けたケース(端数ケース)が分かるようにする。
- 端数商品を1箱にまとめた場合、内容商品と数量が分かるように外箱に明記する。
スムーズな移管を実施し、数量の確認後の運用開始となります。