どこにも載っていない倉庫の最もシンプルな考え方
倉庫には、様々なシステム会社がマッチングプラットフォームや専用システムを立ち上げ、専門コンサルタント、業界誌など情報が溢れ、EC通販モールの付加価値作りに翻弄され、不変であるはずの倉庫のあり方が分かりづらくなっています。
しかし、倉庫はとてもシンプルに考えることが大切です。
■倉庫業務の基本
①保管発送倉庫
入庫→保管→出庫
②流通加工倉庫
入庫→流通加工作業→出庫
倉庫で基本的な業務は上記のたった3つだけです。
入ってきた数量(入庫)と出ていく数量(出庫)の差分が在庫数となります。
上記以外の業務は全て付随作業であり、付加価値を提供する作業と考えます。
■倉庫への目的
倉庫を利用する目的を明確にしましょう。本来倉庫があるべき姿より見えてきます。
・保管
商品保管は保管コストがかかり、荷主企業にとって大きな利益圧迫となります。
日本の倉庫の成り立ちは蔵から始まり、コメなどの農作物を保存し、発展してきました。
当時、長期保存する技術はなく、一時保管として利用され、早く消費者の元へ届けることが目的でした。
現代では食料品の保存技術が高まり、多種多様な商材を倉庫で取り扱うようになりました。
しかし、サービスレベル向上を望む消費者への対応として倉庫での保管は長期化をし、滞留商品が多くなっているのではないかと考えます。
保管期間が長くなれば、保管コスト増加だけでなく、入金サイクルも長くなり、経営上も良い状況ではありません。
保管サイクルを出来るだけ短くする施策を取るべきです。
・出庫
倉庫は、決められたリードタイムで作業事故がなく出荷をすることのみを考え、作業をしています。
もちろん作業責任者や経営者は、最終的に「利益」も考えますが、まずはスムーズに事故がなく作業が完了することをミッションとしています。
荷主企業も倉庫へ依頼するミッションは、納品先へお届けすることであると考えます。
・結論
倉庫でのミッションは、荷主企業は納品先へ商品をお届けすること、倉庫会社は事故なく予定通りに商品をお届けすることであることと微妙なニュアンスは違いますが、ほぼ同じ意味合いです。
荷主企業の要望に対し、倉庫会社は作業品質の担保が可能かを前提に運用フローを考えます。
荷主企業の意向を倉庫会社が汲み取り、倉庫会社が何を考えているか荷主企業にご理解いただくと双方でのボタンの掛け違いがなくなるのではないかと思います。