物流コスト削減方法④ 物流で荷主として出来る改善とは?
前項の物流コスト削減方法③の続きとなります。
■コスト削減は荷主企業と倉庫会社の双方の協力があってのもの
「餅は餅屋」と先人はよく言ったもので、物流については当社のような3PL事業者である倉庫会社がたくさんのクライアントのさまざまな案件を日々行い、試行錯誤していますので、当然詳しいかと思います。
荷主企業は、商品開発・マーケティングや広告、販売の専門家であり、倉庫会社は専門外のため、得意ではありません。
両社の得意分野を生かし、試行錯誤することが大切ではないでしょうか。
物流コスト削減には、商品形状の見直しや販売方法見直し、納品形態や方法の再構築などやり方はたくさんあるかと考えます。
これらは、荷主企業と倉庫会社の協力があってこそ達成でき、荷主企業単体で実現することは困難です。
倉庫業は荷主企業の物流部分を担っています。
荷主企業の資産は倉庫にある商品であり、販売され発送されることで売り上げが立ちます。
(もちろん、キャンペーン関係作業等もあり、一概には言えませんが。。。)
倉庫会社には荷主企業の重要な経営の一部を担っていると誇りを持って、日々業務をしています。
荷主が繁盛し物量・出荷量が増加することが、倉庫会社の売り上げ・利益に繋がっていきます。
荷主企業がコスト削減を達成することにより、他業務に注力され、さらなる発展を望むものです。
しかし、一点だけお気を付けいただきたいのは、倉庫会社へ圧力をかけたコスト削減施策です。
「コスト削減に向け、コンペを開催する。」
「値下げしないと、他社へ移管をする。」
と言った内容では、信頼関係で結ばれているはずの絆が崩れてしまいます。
適正価格での取り引きは大切ですが、コスト削減で荷主企業のみ利益が上がり、倉庫会社は利益が減少しては、倉庫側のモチベーションに影響が出ます。
やはり「人」が関わることですので。
両社で利益が出て、双方が良くなる改善を考えましょう。
早速、倉庫会社と打ち合わせを実施し、課題の検証から始めるましょう。
■荷主企業が取り組むべき課題
1. 商品サイズの見直し
大きな段ボール(外装箱)に決められた入り数の商品が入って、外装箱のまま発送、商品単体で発送する場合でも共に、配送会社の運賃が1サイズ下がる3辺合計サイズに変更することで配送コストが削減できます。
もちろん商品サイズを変更することは容易ではありませんが、定番商品等は可能ではないでしょうか。
例えば宅配便ではヤマト運輸や佐川急便では、60/80/100/120/140/160サイズと縦・横・高さの長さ(3辺)の合計㎝をサイズ計測しています。(佐川急便では140サイズなし)
商品でよくあることで、わずか数㎝だけサイズオーバーをしていることがあり、見直しをかけることはとても重要です。
2. 梱包発送するときの資材サイズの見直し
EC通販等で個人向け発送や店舗向け発送時に梱包する際に、段ボールをよく使用します。
アマゾンで小さな商品が大きな段ボールに入って送られて来たというニュースが昔、よく出てましたが、荷主企業が60サイズで送れると思う商品が、実際は80サイズで送られていたといった事例があります。
倉庫会社と資材についてヒアリングを行い、問題がないか確認しましょう。
3. 業務フローに過剰サービスが含まれていないか
倉庫会社への物流委託検討~移管の手順①にて触れましたが、「EC通販発送時の納品書は本当に同梱が必要なのか」といった課題を感じるサービスが多々見受けられます。
費用対効果と作業事故のリスクや事故による個人情報漏洩リスク、作業コスト増加など様々な角度から本来必要な内容か検証するべきです。
過去に当社で改善が可能だと感じた事例です。
・ECリピート通販にて、購入回数に応じた手書きの礼状を同梱する。
同業他社と一線を画しアピールしたいとの荷主企業の要望は当社も同様ですので、とても良く理解できます。
しかし、倉庫側では個人情報漏洩リスクを考えるものです。費用対効果と併せて、考えていきたいものです。
・倉庫へのパレット入庫後に外装箱や商品箱にシール貼り付け
こちらはメーカー企業でのお話となります。
外装箱や商品箱に何かしら手を加える場合、破損リスクと作業費が発生します。
パレットを積み替え直しが必要な場合や外装箱の開梱などいろいろな作業を行うからです。
当社では製造工場で製造中に貼り付ける作業も加えていただくよう折衝しました。
・倉庫に入庫後、即日全数を一括で他倉庫へ納品
こちらは海外からの輸入や納品倉庫が予め一カ所と決まっている場合は除きます。
倉庫にて荷下ろしや積み込みなどの作業が発生し、納品リードタイムが延び、作業コストの増加が発生します。
製造工場より直送いただくよう折衝しました。
もちろんシール貼り付けや一時的に倉庫での入出庫が発生することは、倉庫側としては売り上げが立つことで正直嬉しい気持ちもありますが、適正では ないと思い提案しました。
是非、物流コスト改善の一助になればと思います。